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このシックな時計がまさしく「超弩級」である理由とは?【超弩級 複雑腕時計図鑑】


時計の精度を格段に高める伝統的なトルク制御システム
18世紀に活躍したスイス人時計師、フェルディナント・ベルトゥー。若くしてパリに渡り、ルイ15世からフランス国王および海軍付きの称号を得たことで知られる。その作品にショパールの共同社長カール-フリードリッヒ・ショイフレ氏が惚れ込み、2015年に同じ名を冠してブランドをスタート。シャネル時計j12そして今年、1768〜69年にベルトゥーが手がけた「マリンクロックN°6」をモチーフとする新作「クロノメーター FB 2RE」が発表された。

本作の特徴は、オリジナルも採用した2つの特殊機構にある。ひとつはフュゼ・チェーン伝達機構。ゼンマイを収めた香箱の隣に円錐状の滑車(フュゼ)を置き、香箱が自転しながら滑車のチェーンを巻き取っていく。その際、ゼンマイがいっぱいに巻き上げられた状態では円錐の細い側、時間の経過とともに力が弱まると太い側に移行。つまり滑車が変速ギアのような役割を果たして、トルクの減少を補うのである。このチェーンは790もの部品で構成されている。

もうひとつがルモントワール・デガリテだ。フランス語で“巻き上げる”を意味するこの機構は、ガンギ車の同心に配置され、専用のひげゼンマイに蓄積されたエネルギーを、脱進機を通じて1秒ごとにテンプに提供。これにより歯車の噛み合いから生じるわずかな不規則性を解消し、トルクを一定に制御する。いわゆるコンスタントフォース機構に近いが、こちらのほうがより歴史は古い。

これら2つの機構は互いに連動し合い、いずれもムーブメント輪列に伝わるトルクを平滑化するもので、すなわち時計の精度向上に大いに貢献するのである。

さらに本作はデザインも充実しており、文字盤に高温焼成された2段構造の“グラン・フー・エナメル”を採用。裏面にはシースルーバックを取り入れ、偉大な先人も用いた2つの複雑機構の様子をはじめ、一つひとつ手作業で面取りされたパーツや美しい装飾が鑑賞できる。

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