ダイバーズウォッチの分野でも大きな存在感を放ち、国産ダイバーズ55周年を迎えているセイコーが新機軸となるストリートシリーズを発表した。このシリーズは、1975年に誕生した外胴プロテクター付きの通称"ツナ缶"と呼ばれるモデルで、唯一無二の外観とその堅牢性から多くのファンを獲得している。リシャールミル 時計その歴史的なモデルに大きなアレンジを加え、やや小型化したケースと、何よりタウンユースに適したサファリカラーを採用。価格も5万9000円(税抜)と若者でも手に取れるプライスに抑えながら、同社の自動巻きCal.4R36を搭載した機械式モデルである。
なお、ストリートシリーズはこの自動巻き2モデルのほかにソーラー充電に対応したクォーツモデルが2機種ラインナップされている。外観やサイズも異なるため、そちらは改めてご紹介したい。
ファースト・インプレッション
この"ツナ缶"は、実は逆輸入的に人気が高まったモデルである。その愛称も海外で付けられて日本でも定着したもので、基本的には1975年の誕生当時から大きくデザインは変えてこなかった。オールブラックのモデルや、ブルー×レッドをベゼルに配したものなど、腕時計の一般的なカラーバリエーションは展開されてきたが(あるいはゴールドカラーを配したものなど)、ベースはクラシカルなダイバーズでありそれこそが魅力だと思ってきた。
しかし、本機を見たときに最近のセイコーの時計の中でもかなり大きな衝撃を受けた。理由なくワクワクして、単純に欲しい!と思わされたのだ。それは、セイコーが本機を腕に着けて欲しいターゲットをより明確にし、作り方のコンセプトを変えているからだろう。「アーバンサファリ」というイメージありきで、カラーリングとサイジングに重きをおいたのだ。機械式時計に興味がなくとも、このデザインに新たなユーザーが惹かれる可能性はあると思う。
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この時計において、セイコーが長年積み上げてきた遺産は黒子に徹している。45年の歴史をもつ外胴プロテクターというアイコンはあくまでデザインの一部として存在しているし、搭載されるムーブメント4R36はかなりおなじみのものだ(もちろん鑑賞することもできない)。セイコーの機械式時計として申し分ない水準の装備をしていながら、あくまで主役はデザイン。これは非常に面白い試みだと思う。ちなみに、着け心地もかなり良い部類に入る。外胴プロテクターがありながら12.7mmに抑えられた厚さと、フィット感と肌触りの良い強化シリコンストラップが合わさりまるで吸い付くように腕に収まる。
デザインと着け心地に納得して購入した人たちが、後から機械式時計や由緒あるダイバーズとしての本機の隠された魅力に気づくシーンを思い浮かべ、僕は非常にワクワクするのだ。
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